■「棚橋弘至引退試合」はオカダ・カズチカ(AEW)との"黄金カード"に決定!

世界中のプロレスファンから注目を集めていた棚橋弘至の引退試合の対戦相手が、現在アメリカAEWで同団体の統一王者に君臨するオカダ・カズチカに電撃決定した。
2024年の10.14両国で引退を発表した棚橋は、今年を"ファイナルロード"と位置づけ、これまでの戦いを通じ互いに想いを持つ選手との対戦を"縁"(えにし)、想いを伝えたい選手との対戦を"継"(つなぐ)と題し、激闘を繰り広げてきた。
そして11.8愛知・東祥アリーナ安城の"継"では、大垣市立東中学校の後輩・Yuto-Iceと最初で最後の一騎討ちを敢行。Iceの激しい攻撃を全身で受け止めると、最後はハイフライフロー3連発で熱闘に終止符を打った。
その試合後、棚橋がエアギターからの「愛してま~す!」で大会を締めくくろうとした瞬間、昨年1月に新日本を退団し、現在はアメリカAEWで活躍するオカダ・カズチカの旧テーマ曲『RAIN MAKER』が鳴り響き、なんとオカダが、かつて自身のセコンドを務めていた外道と共に登場。このビッグサプライズに場内は大熱狂に包まれた。

ひさびさに棚橋の眼前に立ったオカダはマイクを握ると、「棚橋さん、引退おめでとうございます!そして、お疲れさまでした。2026年1月4日、よかったら僕がやりますよ。それまで疲れんじゃねえぞ、このヤロー!」と、2012年の1.4東京ドームの凱旋帰国時に、当時IWGPヘビー級王者だった棚橋に宣戦布告したセリフを引用し、現役最後の相手として名乗りを上げた。
ここからオカダの「というわけで、あとは外道さんにしゃべってもらいます」という懐かしさを感じさせるフレーズを受け、外道が「レインメーカーが来たかぎりは、史上最高の引退試合になるぞ。なんでかわかるか? レエェェベルが違うんだよ、コノヤロー!『WRESTLE KINGDOM 20』東京ドームに、カネの雨が降るぞォォ!」と、貫禄たっぷりに往年のマイクアピール。
オカダが至近距離でレインメーカーポーズを見せると、棚橋も両手を広げる逸材ポーズを決め、両者は火花を散らした。

バックステージで棚橋は、引退試合について「若い選手を迎え撃つっていうのもあったけど、やっぱり僕のプロレス人生の中で、深く関わり合いを持ったレスラーってのは数えるほどしかいないから。その中でも"レインメーカーショック"から始まってね。ものすごい、あのときはショックだったけども、あそこからまた新日本プロレスが上昇気流に乗り始めたっていうのはあるから」と、感慨深げに述懐。
オカダ(当時・岡田かずちか)は2010年1月31日に棚橋を相手に壮行試合を行い、アメリカに海外修行に出発。先述のとおり、2012年の1.4東京ドームで凱旋帰国を果たすと、翌月の2.12大阪府立体育会館で棚橋のIWGPヘビーに挑戦。
下馬評を覆して24歳3カ月の若さで新日本の至宝初戴冠を果たし、この衝撃のベルト奪取劇は"レインメーカーショック"と呼ばれた。

以降、棚橋とオカダは数々の大舞台で激闘を繰り広げ、両雄の対決は新日本の"黄金カード"に。年間最大の舞台である1.4東京ドームでは、これまで3度にわたりメインでIWGPヘビーを懸けて対戦し、2013年と2015年は棚橋の前に涙を飲んだオカダだが、2016年には3度目の正直で勝利をつかんだ。

また、2018年の5.4福岡国際センターではオカダがIWGPヘビーを懸け、自身と同じV11の記録保持者である棚橋を迎撃。レインメーカーで棚橋を振り切り、防衛最多新記録"V12"を達成している。
熾烈なライバル闘争を経て、2018年11月からは共闘する場面も見られた両雄。2023年の3.6大田区総合体育館では、二人で毘沙門(後藤洋央紀&YOSHI-HASHI)が当時保持していたIWGPタッグに挑戦を果たした。

二人で数々の激闘の物語を紡いだのち、オカダは2024年1月に新日本を退団。同年の2.11大阪府立体育会館には"フリー"として参戦し、渡米前に棚橋と節目の一騎討ちを敢行。渾身のレインメーカーで勝利したオカダは、試合後に棚橋と熱い抱擁をかわすと、リング中央のライオンマークに涙の座礼を見せた。

その後、両者は同年の6月30日(現地時間)、ニューヨークで開催された『AEW x NJPW: Forbidden Door』にて6人タッグ(オカダ&ニコラス・ジャクソン&マシュー・ジャクソンvsマックス・キャスター&アンソニー・ボウエンズ&棚橋)でも対戦。
オカダは新日本在籍時とは異なる"AEW仕様"のヒールファイトを見せ、最後は棚橋をレインメーカーで撃沈。これがリング上では両者の最後の接点となっていた。
そこから約1年4カ月。オカダはかつての"レインメーカー"の姿で、引退が目前に迫った棚橋の前に姿を現した。両雄のこれまでのシングルの対戦成績は、オカダの9勝5敗3引き分け。そして18度目の決戦は、棚橋の引退試合として実現することに。
正真正銘、これが最後となる"黄金カード"。新日本のリングに燦然と輝く歴史を築き挙げてきた両雄が、万感の思いで東京ドームのリングに立つ。